平成7年8月、兵庫銀行の経営破綻が明らかとなり、当時の大蔵省の強い指導の下、兵庫銀行本体の業務については、新銀行を設立してこれを引き継がせるが、系列のノンバンクについては清算処理を行うという整理案が採用された。抵当証券を発行する兵庫抵当証券株式会社も銀行とは別会社であり、その購入者は預金者とは異なる「投資家」であるとして救済から切り捨てられた。
これに対し、多数の抵当証券購入者が、兵庫銀行の行員の勧めにより、兵庫銀行の信用を裏付けとして、定期預金と同じ感覚で金銭を預けたにもかかわらず、なぜに預金者と全く違う扱いを受けなければならないか、という声を上げ、平成7年11月から平成8年5月にかけて合計641名の購入者が兵庫銀行を引き継いだみどり銀行に対し寄託金の返還を求める集団訴訟を提起した。
裁判は世論の圧倒的支持を受け、訴訟提起から約6か月後の平成8年6月、みどり銀行が原告らの購入した抵当証券上の権利を元本の90パーセント相当額で買い取るという裁判上の和解が成立し、解決した。
なお、この記事は宗藤泰而が執筆いたしました。