弁護士 吉江 仁子
■ 4月2日(金)共同訓練:9日目:喫茶店デビュー
今日は、喫茶店デビューの日。
そこで、それに先立ち、センター-の食堂で、「拒食訓練」を行いました。
これは、「人間の食べ物に興味を持ったら怒られる」ということを通して、人間の食べ物に興味を持たないようにする訓練です。
お昼の時間は、いつもは、お部屋で待たせているのですが、今日は、クルーを同行して食堂へ。食堂でいつも座る私の椅子を教えて、足下に伏せさせ、「まて」をかけます。
「まて」をかけると、「よし」というまで、その姿勢で待つルールになっています。この場合は、「伏せ」で待つことになります。もっとも、微動だにしないことまで要求するわけではなく、頭をあっち向いたりこっち向いたりすることまでは、制止しません。「クンクン」と匂いをとることは厳禁です。
伏せをして落ち着いた頃、その鼻先10cmくらいのところに、私のお昼のお皿から煮物に入っていた鶏肉を一切れ、置きます。
それを「クンクン」したら、すかさず「ノー!」。「パクッ」といったら、「ノー」と叱りつけながら、口を開けさせ、それを取り出すことになります。
クルーは、おっとりした性格なので(私の手前には訓練部の部長さんが座っていたので、やんちゃを控えただけかもしれませんが・・・)、とりあえず「クンクン」しただけで、私に叱られて、「なんだよ。目のやり場に困るよなー。」と言わんばかりに、そっぽを向いて、寝てしまいました。
「えらいえらい。」と思っていたら、訓練部長さんが、「そっぽを向いたと見せかけて、主人が目を離した隙にパクッといく子もいるので、気をつけて」とのこと。チロチロ、クルーに視線を送りながら、緊張気味でランチを終えたのでした。
クルーは、「人間の食べ物」を食べたことがない子なので、煮物の鶏肉に執着することなく、最後まで、煮物の鶏肉は、無事にそこにありました。
さて、午後。いつもの訓練コースにある、喫茶店へ。
ここは、30年前から、訓練に協力していただいているお店だとか。
お店に入ると、ドアの左側の入り口に一番近い席に座ります。
入り口に一番近い席に座るのは、奥の席に行く場合は、店内での通行距離が長ければ長いほど、ほかのお客さんを驚かせたり、クルーの尻尾がたとえば座席の背もたれにかけてある他のお客さんのジャケットに触れてしまったりと無用なトラブルを招くリスクが高まるからです。
私が先に座って、クルーを伏せさせます。
ママがお冷やを運んでくれ、クルー越しに、テーブルに置こうとすると、クルーが頭をあげたその鼻先に、ママのエプロンが・・・。クルーは、すかさず、「クンクン」して、私に「ノー!」と叱られます。でも、ママは、慣れっこであるらしく、何事もなかったかのように、グラスをテーブルに置き、注文を取ってくれました。
その後は、クルーは、私が訓練士さんたちとコーヒーを飲みながらおしゃべりしている間、「ちぇ。おこられた。」と言わんばかりに、自分の足を枕に寝てくれて、よい子にしておりました。
来週は、地下鉄にも乗るそうです。いよいよ、訓練も実践的になってきました。