弁護士 濱本 由
「再転相続」とは、耳慣れない言葉ですが、ある方が亡くなり(被相続人①)、この方の相続人が相続の承認も放棄もしないまま亡くなってしまったとき(被相続人②)、被相続人②の相続人は、被相続人①の再転相続人と呼ばれます。
わかりやすく言いますと、祖父が死に、直後にその子である父が相続の承認も放棄もしないままに死んだ場合に、さらにその父の子(つまり孫)は、祖父の再転相続人であり、父の相続人となります。
このとき、孫は、再転相続と相続について放棄するかどうかを判断しなければなりません。祖父と父にともに多額の資産があれば、両方相続することに問題はありません。また、同様に両者の遺産が莫大な借金のみである時も、両方について相続放棄をすれば、孫は債務を負わずにすみます。しかし、祖父に多額の財産があり、父に多額の債務がある場合、逆に祖父に多額の債務があり、父に多額の財産がある場合はどうなるでしょうか?これについては、父の相続を放棄した場合、孫は祖父の遺産を相続することができないが、祖父の相続を放棄しても父の相続を承認することは可能とされています。
また、前回お話しした熟慮期間については、被相続人②(つまり父)の死亡時に、被相続人①(つまり祖父)の熟慮期間もスタートするというのが通説です。
再転相続は、弁護士でも滅多にお目にかかることのない事案です。しかし、相続には通常では想定し難い様々なことが起こりえますので、お困りになった時はどうぞお気軽に当事務所にご相談ください。